見積
設計事務所の設計料についてのお話を挟みましたが、ここからまた設計事務所との流れについてご説明します。
実施設計がまとまりますと、いよいよ見積です。
当事務所では、基本的には相見積を実施し、透明性の高いコストの確認をしております。
また一社にすることによりコストを極力抑えつつ、信頼関係を高めて工事をお願いするというやり方もあります。
まずは、設計事務所の仕事に慣れている工務店の候補を選びます。
選択は、設計事務所からのおすすめと、お施主様からのおすすめという感じでしょうか。
おすすめ工務店がない場合は、銀行の紹介というところでもよいでしょう。
設計事務所の仕事になれていない工務店というのは、メーカーの下請けや自社物件ばかりしているところです。メーカーの下請けとなりますと工事内容に特に変化もなく、毎回同じような工事ばかりをしているので、こちらからの要求に全く対応できないということもあります。また、自社物件となりますと、よほど新しい技術やデザインなどに研究熱心なところでないと、既存の技術を使って建てるということで、できる範囲内の仕事の仕方となります。
例えば、サッシ(窓・ドアなど)工事において、規格品しか取扱いができず、窓枠やドア枠など制作できる会社との付き合いがなく工事できないということになったり、違った形にしか仕上がらないといったこともあります。
大事なことは、自分の要望を形にしてくれる能力と実行するために努力ができる相手かということです。
これは工務店だけでなく、その工務店の中の現場監督によっても違います。
また設計事務所においても同じです。担当する人で変わってしまいます。
さて、工務店の候補が決まりましたら、いよいよ見積です。
各業者が工務店に見積を提出し工務店がまとめていきます。最低2週間ほどかかります。
ここは、焦らずじっくり待ちましょう。焦って早く出してもらおうとすると、赤字にならないようにゆとりを見られ結局工事金額が高くなってしまうということもなくはないでしょう。
そしていよいよ見積開封です。
目の前で開封して各社の金額を見比べます。
一般的には、安い工務店を2~3社残して減額項目の見積依頼をかけます。
初めの概算見積時より、ご要望やこれもというアイディアの追加などで予算よりオーバーすることが多いです。
ですので、ここから優先順位をつけて減額の検討をします。
そこでまずは、最終的な建築費の決定をします。それから減額項目のリストを作成して、工務店に再度見積を取ります。
例えば、外壁をA→Bに変更すると○○円という感じです。
設計事務所にて、ここは変えても大丈夫ではとか、後から出てきた要望の部分の金額が確認できるようにと項目を作成します。1週間ほどで打ち合わせできるように見積してもらいます。
見積開封から設計事務所は、減額項目リストの作成と提出された見積のチェック(見積金額が適正価格かどうか、見積落としがないかどうか)をしています。
限られた建築費の中で最大限の要望が叶えられるように、項目ごとに確認をして電卓をたたいてます。
見積金額が、2000万円前半ですと各社の価格差は経験上100~250万円程度でることがあります。
2000万円後半ですともう少し、3000万円では更に大きくなることもあります。
何が価格差を生んでいるのか・・・それは、工務店の仕事の波と営業努力に関係します。
仕事量が十分であれば、利益を抑えて仕事を取りにはきません。また、仕事の少ない時期ですと、手があかないように利益を少なくしても取りにきます。
ここが設計事務所が介入して設計料を払っても、差額である程度まかなえてしまうという部分です。工事についても金額についても工務店と直接やり取りするということなく、言いたいことが言えるという利点です。
見積・減額の期間は、2週間+1週間×減額項目の検討回数です。経験上では、1ヶ月半くらいとしておけば、おおよそまとまります。